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SPECIAL CAKE VOL3. ザッハトルテとミニチョコ菓子

 

 

今回のこのコーナーは、上質のチョコレートをたっぷりと使ったザッハトルテにトライしてみます。ザッハと言えばチョコレート・ケーキの王さまかと思いますが、美味しく作るにはいろいろとコツがあるようで、そのへんが理解出来るまで私もけっこう苦労いたしました。最初のポイントは最上の材料を用意すること。特に、製菓用チョコレートはお値段がピンからキリまであるので、出来るだけ良いものを選びましょう。質の良いものを使うと、味や仕上がりのツヤが断然違います。それから卵などの材料も、新鮮なものを使うことが大切です。

手作りケーキは、これでけっこう手間のかかるものですし、せっかく作るんですから、ここはどーんと材料も手間もおしまず、お店では買えないオリジナルな味に挑戦してみましょう。ポイントや、作業が比較的ラクになるやり方なども含めて解説していますので、どうぞ参考になさって下さい。いつものことですが、もちろんオールカラー、フルロセス写真入りの解説で、分かりやすくなっています。

 

材料 丸型1個分

生地

コーティング下地

コーティング

 

グラニュ糖

薄力粉

無塩バター

スイート

チョコレート

アプリコット

ジャム

グラニュ糖

無塩バター 

スイート

チョコレート

15cm

3

60g+75g

110g

90g

110g

60g

10g

80g

160g

18cm

4

80g+100g

150g

120g

150g

 80g

15g

100g

 200g

21cm

5

100g+120g

180g

150g

180g

 100g

20g

125g

 250g

 

*卵は卵黄と卵白に分けて使います。生地には卵白をメレンゲにしてから混ぜ込むので、生地用のグラニュ糖分量は前半が最初にバターと合わせる分、後半がメレンゲ用になっています。

*上記材料で仕上がりのケーキは、厚さ3.5cm前後になります。

*板状の製菓用チョコレートを使う場合は、袋から出す前に木槌などで叩き割っておくと細かくなって計りやすいし溶けやすいです。

 

<下準備>

*薄力粉は粉ふるいで 2〜3回ふるっておく。

*卵は卵黄と卵白に分けておく。

 

★作り方★

 

1.型に、まんべんなくバターを塗り、小麦粉を振る。余分な小麦粉は払い落としておく。

★POINT!!★ここでキレイに小麦粉をまぶしておくと、型からはずした時にケーキ表面がむらなく仕上がります。

 

 

2.生地用の無塩バターとグラニュー糖をボールに入れ、指で練ってクリーム状にします。グラニュー糖のザラザラ感が気にならなくなる程度まで、よく練り込むこと。

 

 

3.よく混ざったら、ざっとひとまとめにしておきます。

 

 

4.生地用のチョコレートを耐熱ボールなどの電子レンジにかけられるものに入れ、1〜3分前後加熱します。加熱時間は電子レンジやチョコレートそのものの温度によって異なりますので、1分で固さが変わらなければ弱冠柔らかくなる程度まで、もう少し加熱してみて下さい。チョコレートの形が崩れなくても、スプーンなどで崩せる程度の固さになればOKです。

★POINT!!★少量の材料を加熱するために、小さめの耐熱ボールがいくつかあると便利です。チョコレートは湯せんにかけて溶かすのが普通ですが、湯せんはけっこう面倒なので、電子レンジでやると手間いらずですね。

 

 

5.4.に分離しておいた卵黄を加え、むらなく混ぜ合わせます。泡立て器より木じゃくしを使った方が作業が楽です。

 

 

6.これが卵黄とチョコレートが、よく混ざった状態。

 

 

7.先に混ぜておいたバターとグラニュー糖の固まりに6.を加えて木じゃくしで混ぜ合わせます。

 

 

8.スムースになるまで、よく混ぜて下さい。

 

 

9.別のボウルに分離しておいた卵白を泡立て、元の3倍くらいの量になったらメレンゲ用のグラニュー糖を3〜4回に分けて加えながら、更に泡立てて下さい。泡立て器ですくい上げて、角が立つくらいにまでになったらOKです。

★POINT!!★ ここでの卵白の泡立て方が足りないと、焼き上がった時の生地が、のっぺりして美味しくなくなります。卵は新鮮なものほど泡立ちが良くなるようなので、出来るだけ買ってきたばかりのものを使いましょう。ふわっとした口当たりの良い生地に仕上げるためには、ここでしっかり泡立てておくことが大切です。

なお、多少古くなってしまった卵白に砂糖を加えると固く泡立つまで時間がかかりますが、その場合は妥協せずに徹底的に泡立てます。砂糖を小分けにして、その都度できるだけ固く泡立ててゆくのがコツです。こうなるとハンドミキサーを使っても15〜20分くらいはかかりますので、やはり新しい卵を使うのがベストでしょう。

 

 

10.メレンゲの三分の一を先に作っておいた8.に加え、木じゃくしで底から持ち上げるようにして、むらなく混ぜ合わせます。よく混ざったら残りも加えて、卵白の色がすっかりなくなるまで混ぜて下さい。

 

 

11.先の10.が滑らかなクリーム状になったら薄力粉を2〜3回に分けてふるい入れ、生地をボウルの底から持ち上げるようにして、更によく混ぜ合わせます。

 

 

12.薄力粉のダマがなくなり、これくらいスムースな状態になったらOKです。

 

 

13.用意しておいた焼き型に12.の生地を流し入れ、200度に温めたオーブンで約15分間焼きます。オーブンや型の大きさによって焼き時間は異なりますので、15分前後で一度、金串などを刺してみて、何も付いてこないかどうか確認して下さい。何も付いてこなければオーブンから出し、型から抜いてケーキクーラーの上で底を上にして冷まします。焼き足りないようでしたら、3〜5分くらいずつ焼き足してみましょう。

なお、この生地はけっこうふくらみますので、出来上がったら真ん中が盛り上がっている場合がよくあります。逆さにして軽く上から抑えても据わりが悪いようなら、平らになるようにカットしましょう。

 

 

14.これが出来上がりの生地。ケーキの下に敷いている金属製の丸い網がケーキクーラーです。これに乗せておくと、底からも熱が逃げるので冷ましやすくなります。ステンレス製のものは少し値段が張りますが、錆びずに長く使えてお手入れもラク。

 

 

15.チョコレートでコーティングする前の下地として、アプリコットジャムを使います。ジャムとグラニュー糖を小さめの耐熱ボールに入れて電子レンジにかけ、1〜2分加熱して軽く沸騰させます。ボールがなければ、小さいナベに入れて火にかけ、混ぜながら煮詰めても構いません。

 

 

16.生地に、煮詰めたアプリコットジャムをまんべんなく塗り延ばします。

 

 

 

17.コーティング用のチョコレートを作ります。チョコレートと無塩バターを合わせて溶かすわけですが、普通はこれも湯せんにかけます。でも、やはりめんどいので、私はケーキが焼き上がった後のオーブンの予熱を利用しています。オーブンの火が止まっているのを確認してから、バターとチョコを金属製のナベに入れてしばらくオーブン内に放置しておくと簡単に溶けます。要は溶ければ良いわけなので、電子レンジで加熱しても構わないでしょう。

溶けたらオーブンから出して、よく混ぜ合わせます。予熱で溶かす場合に使うナベは、持ち手部分が木製か金属製のものを使うのが無難。予熱と言ってもけっこう熱いので、材質によっては耐熱範囲を超えてしまうことがあるかもしれません。

 

 

 

16.アプリコットジャムを塗っておいたケーキ本体にコーティングチョコレートを流しかけます。ケーキはクーラーに乗せたまま、下に皿かバットなどを敷いて、チョコレートが流れても良いようにしておきましょう。

まんべんなくコーティングするためには、まず側面周囲を一周させるように流しかけ、それから中央表面を改めて一周させるように流して下さい。表面が固まるのにしばらくかかりますので、そのまま放置しておきます。固まったら、表面に金箔やアラザンなどで飾り付けをすると、豪華な感じに仕上がります。

ちなみに流しかけた時に下に落ちたチョコレートも、固まると簡単に剥がせます。けっこう美味しいので、これも、もちろん食べれますよ。

 

 

こうして出来上がったザッハ・トルテ。一日以上おくと、素材が馴染んで味がぐっと良くなります。出来れば泡立てた生クリームと一緒に召し上がって下さい。生クリームも上質のものを使い、甘さは控えめにしておくのがコツです。ケーキそのものが十分甘いので、200ccの生クリームに対して砂糖15gくらいが目安。重厚感のある味わいのザッハに、チョコの苦味の中からフルーティなアプリコットの甘味が爽やかに浮き上がり、更に生クリームの軽い口当たりがバッチぐーなバランスで絶妙の美味しさ!! 

チョコレートは固まっていると本当の美味しさが味わえませんので、室温が20度前後なら冷蔵庫に入れずに保存しておくのがベストです。冷蔵庫に入っていた場合は、食べる少し前に出して柔らかくしてからの方が美味しいですよ。なお、出来ればお茶やコーヒーも砂糖を入れずにストレートで合わせるとケーキの味が引き立ちます。小さく切り分けても堪能できる美味しさですので、カフェ風に盛り付けてどうぞ。

 

 

★おまけ★

コーティング用のチョコレートを、下の写真のような型に流し込んで冷ますとミニチョコ菓子になります。このピンクのは樹脂製ですが、アルミ箔の小さな型に流し込んでも良いですね。ミモザやスミレ、アラザンなどで飾りつけしたり、チョコが柔らかいうちにラムレーズンを落とし込んでおいたりするなどのバリエーションも工夫次第で楽しめます。チョコとバターを2 : 1の割合で溶かすだけで簡単に出来るので、お菓子作りのついでに作っておくと、ちょっとしたお茶菓子の一品として重宝しますよ。

 

1.チョコレートとバターを2 : 1の分量で計り、耐熱ボールに入れて1〜3分電子レンジにかける。

 

 

2.スプーンなどでつぶせる程度に柔らかくなったら、むらなく混ぜ合わせる。

 

 

3.型に流し込んで冷まし、固まったら型から抜く。小さな型に流し込む時は5ccの計量スプーンなど小さいものですくって、少しずつ入れてゆくのがコツ。なお、流し込んだチョコレートの表面は、容器を軽くゆすると簡単に平らになります。

こちらの写真は一種類のチョコだけで作っていますが、型の三分の二くらいに流し込んでから表面を平らにならして冷まし、その後で色違いのチョコを流し込むと2色コンビのチョコ菓子が出来ます。2色にするときは、最初のチョコを流し込んだ後で表面を必ず平らにしておくのがコツ。そうすると側面がキレイに2分割した仕上がりになります。

 

 

ということで、ザッハトルテ。1年越しで何度も作り、苦労しまくってコツを掴みましたが、これほど美味しいともうケーキ屋さんいらずです。諦めずに頑張った甲斐がありました。そのへんのノウハウを全て盛り込んで解説してますので、この通り作れば初心者さんでも美味しく作れるはず。ぜひお試し下さいませ。

余談ですが、チョコレートといえばやはりヴァレンタイン。手作りなら味の好みもばっちり合わせられますし、今からならそちらをリサーチする時間もたっぷりあるはず。そこで次のヴァレンタインには、手作りチョコで頑張ってみませんか?

 

photo : 2005.6.26.+2006.3.5.+10.15-10.16.

rayout : 2006.10.5.+10.16.

text : 2006.10.5.+10.17.

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