あやぼーの文法教室*文法なんてカンタンだ! -  中級篇2. 準動詞 (RSS2.0)

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中級篇★その2.準動詞

3.分詞 A)分詞の用法

   

   

ここでは、分詞が単体で形容詞として用いられる場合と、意味の上から名詞化した形容詞を修飾して副詞的に用いられる慣用例について解説します。分詞構文については、次章を参照して下さい。

     

1. 形容詞的用法

@)限定用法・・・名詞を直接修飾する形で用いられる

分詞単体が名詞を修飾する場合は、通常の形容詞同様にその名詞の前に置かれることが一般的だが、他の修飾語を伴って長くなる場合は、名詞の後に置かれる。

ex) 

A drowning man was calling for help.(溺れている男が、助けを求めていた)

   ・・・現在分詞が名詞の前に置かれた一般的な限定用法

The girl playing the piano there is my daughter. = The girl who is playing the piano 〜

(そこでピアノを弾いている少女は、私の娘です)

   ・・・現在分詞が他の修飾語を伴って名詞の後に置かれた形

 

A)叙述用法・・・主格補語、目的格補語として用いられる

@ 主格補語として用いられる

ex) 

I kept waiting for a long time. (私は、長いこと待ち続けた)・・・現在分詞が主格補語として用いられ、能動的な意味を表現

He felt insulted. (彼は、侮辱されたと感じた) ・・・ 過去分詞が主格補語として用いられ、受動的な意味を表現

    

A 目的格補語として用いられる

ex) 

She kept me waiting for a long time. 

(彼女は、私が待っている状態を保った = 私を待たせた)

   ・・・現在分詞が目的格補語として用いられ、目的語(me)の状態を示す。"me waiting"の部分は目的語に対し能動的な意味(私が待っている)を表現しているが、文全体を自然な日本語に直すと文脈から受動的な意味が生じる。

ちなみに、keep+<目的語>+〜ingは「<目的語>を〜させておく」/keep+〜ingは「〜し続ける」という慣用表現で、この場合の〜ingはこのようにどちらも"分詞"と看做されます。一般に補語には名詞、形容詞どちらも取られることがあるわけですが、このwaitingが動名詞ではなく分詞(=形容詞)であると看做されるのは、keepという述語動詞に〜ingが続くと、述語動詞の意味を成立させるために"動作の継続がもたらす状態を表現する形容詞を補語として必要とする"ためで、逆にSeeing is believing. のように〜ingが補語として機能していても、全体の意味から"事柄(名詞的な意味)"を示していると考えられる場合は動名詞であるとされます。また、以下のような場合、

keep reading the book ・・・"読むという行動"が続けられている(状態)ということなのでreading は分詞/形容詞的用法

enjoy reading the book ・・・"読書という事柄"を楽しむということなのでreading は動名詞/目的語

として機能していると考えられます。つまり〜ingが動名詞であるか分詞であるか判断するには、〜ingが名詞("事柄"を表現)として働いているか、形容詞("動作や動作の継続がもたらす状態"を表現)として働いているかを考えれば手がかりになるでしょう。ただし、このように分詞が補語として用いられる例は慣用的で、特に現在分詞の用例はそれほど多くないと思われます。

        

I saw my name written on the bulletin board. 

(私は、私の名前が掲示板に書かれた状態にあるのを見た = 書かれているのを見た)

   ・・・過去分詞が目的格補語として用いられ、目的語(my name)の状態を示す。この場合は目的語に対し受動的(もしくは完了的)な意味(名前が書かれた)を表現している。上例と比較すると明らかなように、ここで現在分詞を使うか、過去分詞を使うかは、目的語との関係によって決まる点に注目。

         

B 知覚動詞の目的格補語として用いられる場合の注意点

一般にsee、notice、hearなどの知覚動詞は目的格補語として原形不定詞を取るが、特に進行中の動作に重点が置かれた表現では現在分詞を使うこともある。この場合、「〜しているところ」という意味になり、原形不定詞よりも臨場感のある表現となる。

ex) 

I saw him breaking the window. (私は彼が、窓を壊しているところを見た)・・・より臨場感のある表現

I saw him break the window. (私は彼が、窓を壊すのを見た)

⇒ 知覚動詞が原形不定詞取る場合については、 中級篇2. 準動詞1.不定詞 D)原形不定詞を参照して下さい。

      

B)with+名詞+分詞で表現される付帯状況

withに続く名詞を分詞が後置修飾して付帯状況を表現する場合があります。これはwithを伴った付帯状況の表し方ですが、分詞は分詞構文になってwithを用いず付帯状況を表現することもあるので、これに関しては後の章でまとめて解説しています。詳しくは準動詞3.分詞 C)付帯状況を参照して下さい。

    

C)「the+分詞」で、「〜する/された人々」の意味で主に複数名詞となる

形容詞がtheと結びついて「〜な人(単数)」「〜な人々(複数)」の意味になることは冠詞の項目で書きましたが、形容詞として用いられている分詞が同じ働きをすることもあります。これは冠詞"the"に、続く形容詞が示す性質を代表するニュアンスが含まれるためで、従って分詞が形容詞として用いられる場合でも、それが示す性質を持つ集団を表現することが多くなります。ただし、単数扱いの意味を持つこともあるので注意が必要です。

ex) the wounded = (the) wounded people (負傷した人々)

the living = (the) living people (生きている人々)

<<慣用的に単数扱いになる例>> the accused (被告)、the deceased (故人)

    

2. 副詞的な用法(形容詞からの派生)

以下の例のように、形容詞を修飾しているという点では副詞と考えることができますが、元来は形容詞であるcoldやhotを辞書で見ると、coldには名詞用法があり、hotにはないということが分かります。しかし、以下の例は慣用的な表現で、hotもcold同様に名詞化して「寒さ/暑さ」という意味を表現していると考えれば、この分詞は形容詞であるとも言えます。このような特殊な場合に限り、分詞単体にも副詞的な用法が現れることがあります。

ex) 

It's freezing cold. (凍てつくように寒い)

It's boiling hot. (煮えるように暑い)

          

では、以上のような点に注意して、以下の日本語を英語に直してみて下さい。極力、日本語で考えず、イメージを自動的に英語にする努力をしましょう。もちろん、発音やイントネーションにも注意して下さい。すぐに言えなかった場合は正解例を見て記憶し、少し時間を置いてから言えるかどうか試してみます。これを何回か繰り返すうちに、日本語に対応した英語が難なく出てくるようになると思いますよ。

1. 彼女は、沸騰している湯の中に卵を入れた。

1. She put the eggs into the boiling water. 

2. 彼女は、ゆで卵(=ゆでられた卵)が好きだ。

2. She likes boiled eggs. 

3. 私は、一人の男が通りを駆け抜けてゆくのを見た。

= 私は、通りを駆け抜けてゆく男を見た。

(分詞が他の修飾語を伴って長くなる場合の用例)

     

3. I saw a man running through the street. 

※知覚動詞の目的格補語は基本的に原形不定詞なので、I saw a man run through the street. とも言える。ただし、現在分詞を用いると臨場感のある表現になることに留意して、表現したいニュアンスを考えてから使うこと。

      

4. 彼は、解雇された。

⇔ 彼は、昇進した(= 昇進させられた)。

(過去分詞を主格補語として)

     

4. He got dismissed

⇔ He got promoted

5. トムは、メアリを酔わせた

(過去分詞を目的格補語として)

     

5. Tom got Mary drunk
6. ショーが進行するにつれて、聴衆は次第に盛り上がってきた。(= 興奮させられてきた) 6. The audience grew excited as the show went on. 
7. 私は彼が、怒って息子をぶっているところを目撃した。

<比較> 私は彼が、怒って息子をぶつのを見た。

7. I saw him hitting his son with anger. 

<比較> I saw him hit his son with anger.

 

解答例1.「湯」に相当する英単語はなく、"hot water (熱い水)"、"boiling water (沸騰している水)"のように、水の状態を言う形容詞(相当語)を付けることで表現します。

解答例2.この問題文の場合、「"ゆで卵"というものが好きである」の意味になるので boiled eggs / a boiled egg / the boiled egg のどれでも使うことができますが、一般的に冠詞なしの複数形が用いられるのをよく見かけます。

解答例4.〜6.「get/become/grow +過去分詞」、「get/have +目的語 +過去分詞」で、これらの動詞がbeの代用となって受動態的に使われる慣用表現。ただし、形は受動態でも意味は能動的になる場合もあり、get(become) tired はこの代表的な例。 ちなみに、「get/have +目的語 +過去分詞」の形で使役を表現する場合もあり、どちらの意味かは文脈から判断しなければならない。⇒ 使役動詞については、研究篇★その2.使役動詞 make/have/get/letを参照して下さい。

                 

2009.11.12.+11.19.〜11.30.

    

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