あやぼーの文法教室*文法なんてカンタンだ! -  中級篇2. 準動詞 (RSS2.0)

四の五の言わずに黙って暗記 - 文法なんてカンタンだ!!

中級篇★その2.準動詞

2.動名詞 @)動名詞の概要

〜型・時制と否定/意味上の主語〜

   

動名詞は、動詞にingが付いた形で用いられます。これは現在分詞と同じ形ですが、現在分詞が動詞の性質を残しながら形容詞の働きをしたり、副詞句である分詞構文を導いたりするのに対し、「動名詞は動詞と名詞の性質を合わせ持ち、一般に"〜すること"の意味になる」ので混同しないように理解を深めておきましょう。また、動名詞はこの性質から、swimming (水泳)、reading(読書)などのように、動名詞単体で完全に名詞化しているものも多く見受けられます。

⇒ 現在分詞については、中級篇2.準動詞3.分詞@)分詞の概要 から始まる章で解説していますので、そちらを参照して下さい。

    

1. 型と時制

動名詞には以下の表のような型があり、単純形と完了形では表現する時制に違いがあります。

  能動態 受動態
単純形 doing being done
完了形 having done having been done

@)単純形 ・・・ 基本的には述語動詞の表す時制と同じか、それより未来のことを表す

ex) 

He is famous for being a playboy. (彼は、プレイボーイとしてよく知られている)

 ・・・ 動名詞being以下は前置詞forの目的語で、動詞 is の時制と同じ現在のことについて言っている

He was afraid of dying. (= He was afraid that he would die.)

(彼は、死ぬことを恐れていた)

 ・・・ 動名詞dying は動詞の時制より先に起こることについて言っている

    

A)完了形 ・・・ 述語動詞の表す時制よりも、前のことを表す

ex) 

He admitted having stolen the money. (彼は、その金を盗んだことを認めた)

 ・・・ 動名詞 having stolen は動詞admittedの目的語で、動詞の時制より前に起こったことについて言っている

He is famous for having been a playboy when he was young.  (彼は、若かった頃プレイボーイだったとしてよく知られている)

 ・・・ 動名詞having been以下は前置詞forの目的語で、動詞 is の時制より前のことを表す

      

B)時制における例外

単純形と完了形は原則として以上のような意味を示しますが、remember(覚えている)、forget(忘れている)、regret(後悔している)などのように、述語動詞よりも前に起こったことについて言っていることが明らかな動詞に続く動名詞は、必ずしも完了形にしなくても構いません。

ex) I remember seeing you before. (私は以前、あなたに会ったことを覚えている)

 ・・・ 「〜を覚えている」と言う場合、続くのは明らかに過去のことであるので単純形の動名詞を使ってよい。ただし、having seenを使っても誤りではない。

なお、これらの動詞は目的語として動名詞を取った場合(過去に起こった事柄について言う)と、不定詞を取った場合(先の事柄について言う)で意味が異なってくるので注意が必要です。

⇒ remember、forget、regretについて動名詞、不定詞を取った場合の意味の違いについては、研究篇1.動詞の目的語4. 動名詞・不定詞ともに取るが意味の異なるものを参照して下さい。

     

2.動名詞の否定 ・・・ not、neverなどの否定語を動名詞の直前に置く

ex) He admitted not having kept his promise. (彼は、約束を守らなかったことを認めた)

 ・・・ notは動名詞having keptを否定。動名詞が完了形であるのは、述語動詞より過去において守られなかった事柄について言っているため

He admitted not keeping his promise of staying away from drinking.. (彼は、酒を飲まないという約束を守っていないことを認めた)

 ・・・ notは動名詞keepingを否定。動名詞が単純形であるのは、述語動詞の表現する時点において約束が守られていないことを言っているため

<<比較>> He did not admitted having stolen the money. (彼は、その金を盗んだことを認めなかった

 ・・・ この場合のnot は述語動詞を否定しており(「認めなかった」)、動名詞が肯定している内容(「盗んだこと」)を否定する形になっている

          

.意味上の主語

動名詞にも、その動作の主体となる意味上の主語があり、これは原則として名詞、代名詞の所有格を動名詞の直前に置いて示しますが、意味上の主語が文の主語や目的語と一致したり、一般論を言う場合(=一般の人々が主語の場合)には、特に示すことはありません。なお、代名詞の場合は、所有格の代わりに目的格を用いることもあります(目的格を用いるのは、どちらかと言えば口語的)。

ex) Would you mind my/me opening the window? (私が窓を開けると迷惑に思いますか? = 窓を開けてもいいですか? )

    

ただし、以下のような例外もあるので、注意してください。

@ 意味上の主語が名詞の場合、所有格にしなくてもよい。なお、無生物が意味上の主語であれば所有格にすることは出来ないので、そのまま用いる。

ex)

Mary's father hate his daughter's/daughter going out with her boy friend. 

(メアリの父は、彼の娘がボーイフレンドとつきあうことを嫌がっている)

 ・・・ 意味上の主語が名詞であれば、所有格にしてもしなくてもよい

In spite of the evidence proving what was happened, she still believe her husband is not guilty.

(その証拠が何が起こったかを立証しているにも関らず、彼女は夫が無罪であると信じている)

 ・・・ 意味上の主語が無生物の場合は、そのまま用いる

A 所有格のない代名詞(this、someなど)や、代名詞が他の語と共に用いられている場合も所有格にすることはできないのでそのまま用いる。

ex)

I must admit some denying my theory. 

(私は、ある人々が私の理論を否定していることを認めなければならない = 私は、私の理論を否定している者たちがあることを認めなければならない)

 ・・・ 所有格のない代名詞は、そのまま用いる

He suggested some of us attending the funeral. (彼は、私たちのうち何人かが葬式に参列することを提案した)

 ・・・ 代名詞が他の語とともに用いられている時は、所有格にしない

        

では、以上のような点に注意して、以下の日本語を英語に直してみて下さい。極力、日本語で考えず、イメージを自動的に英語にする努力をしましょう。もちろん、発音やイントネーションにも注意して下さい。すぐに言えなかった場合は正解例を見て記憶し、少し時間を置いてから言えるかどうか試してみます。これを何回か繰り返すうちに、日本語に対応した英語が難なく出てくるようになると思いますよ。

1. 彼の目的(狙い)は、コンテストで1位を取ることだった。

1. His aim was getting the first prize in the contest.    

2. 我々は昨夜、テレビでそのドキュメンタリー(実録番組)を見るのを楽しんだ。

2. We enjoyed watching the documentary on TV last night.

3. 彼女は彼を裏切ったことを認めなかった。

(完了形能動態)・・・述語動詞の表す時点より前に、裏切り行為があったということ。

<<比較>>彼女は彼を裏切っていることを認めなかった。

(単純形能動態)・・・述語動詞の表すのと同じ時点で、裏切り行為が続いている状態であるということ。

     

3. She didn't admit having betrayed him.

= She didn't admit that she had betrayed him.

   

<<比較>> She didn't admit betraying him. 

= She didn't admit that she was betraying him.

   

4. 彼女は彼に裏切られたと言い張った。

(完了形受動態)・・・述語動詞の表す時点より前に、裏切り行為があったということ。

<<比較>>彼女は彼が他の女の子とつきあっていることを知っていたので、彼に裏切られていると言い張った。

(単純形受動態)・・・述語動詞の表すのと同じ時点で、裏切り行為が続いている状態であるということ。

     

4. She insisted on having been betrayed by him. 

= She insisted that she had been betrayed by him.

= She insisted that he had betrayed her. ・・・実際的な言い方

   

<<比較>> She insisted on being betrayed by him because she knew he went out with another girl.

= She insisted that she was being betrayed by him because 〜

= She insisted that he was betraying her because 〜

  ・・・実際的な言い方

   

5. 私は、その国を訪れたことを忘れないだろう。

 = 私は、その国を訪れたことを覚えているだろう。 

5. I won't forget visiting the country.

  = I will remember visiting the country.

6. 彼は約束を守るつもりが、全くなかった。 6. He had no intention of keeping the promise.
7. あなたは、そんなことを言ったのが恥ずかしくないですか? 7. Are you not ashamed of having said so?
8. あなたは、そう言わなかったのが恥ずかしくないですか? 8. Are you not ashamed of not having said so?
9. その店員は、私が現金で払うことに拘った(を主張した)。 9. The clerk* insisted on my/me paying in cash. 
10. 彼は、父が偉大な科学者であることを誇りに思っている。 10. He is proud of his father/father's being a great scientist.

    

解答例3.〜4.動名詞の形によって表現する内容の時制がどう変わるかに注目して下さい。なお、解答例4.では、動名詞は前置詞on の目的語になっています。

  ⇒動名詞が目的語として使われる場合については、中級篇2.準動詞2.動名詞A)動名詞の用法を参照して下さい。

これらの例文で単純形能動態をthat節を使って言換えた場合に進行形になるのは、裏切り行為は過去に行われた行為であるか、現在進行中の状態であるかのどちらかであって、過去に行われたものであれば「完了形を用いて大過去として表現」されますが、現在進行中の状態(例えば、浮気など)であればbetrayのような動作動詞は進行形にしないと意味をなさないからです。つまり、動作動詞が進行形になると、「動作が継続することによって齎される暫定的(もしくは恒久的)な状態を表現する」という点で、状態動詞として機能していると考えることが出来るでしょう。このように、表現しようとする事柄のニュアンスをよく考えながら英文にする必要があります。なお、解答例4.は、that節を用いて能動態で言う一番下の例が、特に口語では実際的な例だと思います。

     

解答例6.「〜するつもりがない」と言う場合、名詞intentionにnoを付けて"have no intention of"の形で否定の意味を出すのが慣用的な表現です。他に、不定詞を使って He didn't intend to keep his promise. とも言えますが、どちらにしてもintend/intensionには"意志を持って〜する"というニュアンスがあり、これを否定する形で用いれば「〜する意志がない」となる一方、動名詞や不定詞に否定語をつければ「〜しない意志がある」という感じが出ます。

これを例文にあてはめると、それぞれ「約束を守る意志がなかった」と「約束を守らない意志があった」となり、表現する内容の結果は同じでも、後者はより積極的に最初から"守らないぞ"という強い意志を持った上で約束したような印象が出てきます。そうすると、単に軽い気持ちで「つもりがない」程度の否定なら、前者が適当な表現であると理解できるのではないでしょうか。

約束をする段階からそれほど強い意志を持って守らないと決めている場合も少ないでしょうし、そのため一般に、動名詞keeping自体に否定語を付けた形は必然的に用いられない場合が多くなるとも考えられます。ともあれ、文法的には間違っていなくても、このように慣用やニュアンスの点で不適当な表現になる場合もよくあるので、実際的な用法の知識を地道に蓄積してゆくことが、結局、英語を使いこなせるようになるための一番の早道ではないかと思います。

     

解答例7.〜8.動名詞の表す意味を否定するには8.のように動名詞の直前に否定語を置きます。7.8.ともに、Are you に続く否定語notは、述語動詞に対する否定なので混同しないようにして下さい。また、Are you not 〜? はAren't you 〜? と言うことも出来ます。

解答例9.「clerk」は元来「事務員」のことですが、特に米語では「販売員、店員」の意味で一般によく使います。

     

2009.11.9.+11.11.+11.30.

 

中級篇★その2.準動詞1.不定詞 E)「be+to〜」「seemなど+to〜」「believe+目的語+to〜」 <<

 

>> 中級篇★その2.準動詞2.動名詞 A)動名詞の用法