このコーナーはしゃーると私の日常をフリー・トークでお届けします。

ぼくはおひさまのくるま その2

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★★愛と苦難の日々・篇★★

 

せまい道に迷い込み、曲がろうとしたトタンにガリガリガリ.......。そうです。電柱にこすってしまった音なんですねー。なんとかウチに帰ってから降りてみると案の定20センチくらいの円形に大きなへこみとキズが...。その時の私の気持ち。そりゃ修理費用がかかるとかなんとかよりも、ただひたすらクルマが可愛そうで泣きそうになりましたよ。こんなに美形なのに、こんなことなってー。私のとこなんか来なきゃ、もっと運転のうまいオーナーのとこ行ってりゃ、こんなめに合わなかっただろーに、と思うと、ただひたすら「ごめんね、ごめんね」状態で、「すぐに治してあげるからね、許してね」とあやまりまくっておりました。もちろんその後すっかり修理してもらい、まるでそんなことがあったとはわかりませんが、その後7年間で、小さなキズも含めて入院回数は4回、そのたびに私はますますしゃーるくんに頭があがらなくなってゆくのでした。

もう決してケガなんかさせないからね、と固い約束を交わしながら、根っから、おマヌケな私は昨年(2000年)も右フロントフェンダー部をこすってしまい、美しいしゃーるくんのほっぺたがキズものにっ!!

ここ何年かケガをさせることもなく、快適な毎日を送っていただけに、これはショックでした。いつものように板金塗装をお願いするつもりだったのですが、実はココは以前にもキズをつけられた部分だったので、どうしようかなあ、と考えた末、フェンダーごと交換してもらうことにしました。古いフェンダーは戒めのために持ち帰り、見るたびに日々の安全運転への誓いを新たなものとしています。そのうち趣味のガレージを持つことが出来たら、ステッカーでも貼ってかざろうか、とか思ったり...。(こりてないかも)

さて、このように、壊滅的に細かい運転が苦手だというオーナーのもとに来てしまったしゃーるくんは、それだけでも苦難を背負わされた苦境のロードスターなのですが、その上にこのオーナー、おとなしく走っていればいいのに、すぐ調子にのる悪いクセまである。

そうなんです。これがまたしゃーるくんの悩みのひとつなのですが、彼のオーナーは調子にのると、あと先かえりみずアクセルを踏んでしまう(!!!)、走りたがりだったのです。運転がヘタなくせに、です。

ある日、しゃーるくんは、みちばたに白バイさんの姿をみつけました。そしてオーナーに注意をうながそうとしたのですが、聞き入れてもらえません。と言うより、すっかり調子にのっているオーナーは気がついてくれないのです。ああ、このままじゃ...、と思った矢先でした。白バイさんが、おもむろにしゃーるくんのあとを追っかけて来たのです。その時の速度はなんと時速120キロ!! まずいです。オーナーは交通刑務所に入らなければならないかもしれません。その道は時速60キロが制限速度なのですから...。ああ、もしオーナーが刑務所なんか入ることになったら、ボクはどうなるんだろう、と、思う余裕が彼にあったかどうかは定かではありませんが、すぐに白バイさんはぴったりしゃーるくんのうしろについてしまいました。オーナーも今度はすぐにそれに気づき、「あーあ」とか言って路肩に寄ろうと素直にウィンカーを出したのです。幸いにも白バイさんが優しい方だったので、少し先の止まりやすくなっている所に行ってからでいいよ、と声をかけて下さいました。

しゃーるくんは、しばらくして路肩に止まり、降りて行ったオーナーと白バイさんのやりとりを不安げに見つめています。ああ、もし、30キロ以上のオーバーになってたら、罰金ですまないよなあ...。

けれども、スピードガンにひっかかったのが、かろうじて27キロオーバーの時点だったため、オーナーは罰金を払うだけですんだようです。しかし、安心するとしゃーるくんは、なんだかムショウに腹が立って来ました。白バイさんにオーナーが叱られている間、じっと待っているだけのしゃーるくんは道ゆくクルマを眺めながら、とても恥ずかしい思いをしなければならなかったからです。

彼は人々や周囲のクルマたちの羨望のまなざしを浴びながらカッコよく走るのが仕事のスポーツ・カーです。

それなのに、それなのに。

「やーい、つかまってやんのー」とばかりにびゅんびゅん走ってゆくクルマたちは、いつも彼がひゅんひゅん交わしながら抜き去ってゆくのが常の奴らなのです。くそー、こいつのせいだ!!、と思うしゃーるくんは、家につくまでずっとずっと機嫌が悪いままでした。

と、いうわけで、この時の話なのですが、自分がスピード違反なんかしたから気がとがめてただけだろう、と誰もが言うと思います。しかし、私はこのあとしゃーるくんに乗っていて、彼の不機嫌を肌で感じておりました。「なー、しゃーるさんってば。もう機嫌なおしてよぉ、あやまるからさー」、と何度あやまっても、しゃーくんは「ふんっ」状態で、取り合ってくれないような気さえしました。

みなさんの中にも、愛車の気分って感じることがあるという方、いらっしゃいますよね。もう、これは理屈ではないんですが、口に出さなくても怒っているというのは人間同士でも、けっこうわかるものです。それ以来、私は100キロあたりまでスピードメータがハネあがり出したらアクセルを戻す習慣がついています。速度警報装置(110キロあたりから、ぴーぴーって鳴るの)も、めったに鳴らさなくなりました。やっぱりしゃーるくんに嫌われたくないし、ケガもさせたくないですからね。

さて、このオーナー。運転がヘタなくせに、なにゆえミッション車などという、絶滅寸前の危機にひんしている種にわざわざ乗っているのか。昨今では売れるクルマの90パーセント以上がオートマで、F 1 からもミッションシフトが消えて久しいというのに...。それに教習所の先生にも「オートマにしといた方がいいんじゃないの」と言われた(ヘタだから)にもかかわらず、なんでわざわざ5段ミッションなんてクルマに乗っているのか。これはもうやはり、「スポーツ・カーならミッション車」、という、すでに死語を、しかしやはりこれこそ王道と今も信じているからです。

私の子供の頃のクルマと言えば殆どミッション車があたりまえで、のせてもらうと必ずドライヴァーはクラッチを踏んでミッションをシフトしているわけです。これ、これがすごくコドモごごろにもカッコよく思えて、やはりオートマ限定などという中途ハンパな免許を取る気にはならなかったのですね。しかもロードスターともなれば、やはりミッションシフト、これ!! これにつきます。

「一緒に走る」、というのが、やはり私の場合しゃーるくんとのコミュニケーションなわけですから、ミッションを細かく操作することによって、そのつどしゃーるくんとのやりとりがあるわけです。それに、いまどき何をアナクロいことを、と思われる方もいらっしゃるでしょうけれど、エアコンさえめったにつけないのは、しゃーるくんが体感しているのと同じ気温を感じて走りたいと思うからです。

始めの頃はエアコンも使っていたのですが、ある日こう思いました。「しゃーるくん、寒い時は寒い、暑い時は暑い思いしながら走ってるんだよなー、私だけ快適してていいのか?!」と。

以来、です。

よほど運転に支障の無い限り私は自分でもすっかりエアコンのあることを忘れ去り、「しゃーる、今日はあっついなーーー」とか言いながら走っています。でも、けっこう悪くないです、そういうの。バッテリーあがりとかも気にしなくていいし、そもそもエアコンに弱いので、家にいる時でもつけてないことが多いんですから。

エアコンの話はともかく、ミッション・シフトについてですが、これ、ふつうは運転がうまいと思われたりしますけど、私の場合はヘタだから、オートマみたいに勝手に動き出すようなクルマは、めちゃマズいというのもあります。事実しゃーるくんの苦難のひとつにエンストがあります。

これはミッションを何速かに入れたまま、クラッチから足はなしちゃう、という、私のよくやるどうしようもない、おマヌケのひとつですが、ミッション車だからエンストで済んでます。つまりしゃーくんが「こら、だめ!!」、とばかりに止まってくれるからそれで済んでるんです。これがオートマだとしてごらんなさい。 PARKにいれてるつもりがへんなとこに止まってて、ペダル踏んだとたん、ずどどどどーーー、って前進しちゃうとか、まず絶対やりそうなのが、アクセルとブレーキのふみまちがいですね。それやる絶大な自信があります。それほど、どんなに注意しているつもりでも、全く信頼性のない注意力しか持ち合わせていないのが私なのです。運動神経が不自由な上に散漫な注意力。クルマにとって、これほど辛いオーナーもないかもしれません。

しかし、それでもけなげに側にいてくれるしゃーるくんに、あやぼーは感謝しつつ、せめても彼の愛に報いようと、日々のお世話に励むのでした。

つぎの章では、いかにして「ぴかぴか"新車"なロードスター」が8年間も保たれているか、の秘密をお教えします。

 

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*** しゃーるとあやぼー、会話できたらこんなふー、かも。***