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VOL1. アーモンドのタルトを作る

 

先日神戸で、フォションのアップルティというのを注文して驚きました。香りが凄いんです!! フォションと言えば、一缶二千円近くするというお値段に圧倒されて今まで試してみたことがなかったんですが、こんなにいい香りのするものだと知らなかったとは全く迂闊な話です。やはりお値段の高い紅茶には、それだけの値打ちがあるってことなんですね。そう言えば、同じオレンジペコと名がついていても、なんでこんなにお値段が違うの? と疑問に思ったこともありました。これは茶葉の収穫時期や、どの部分を用いているかで味わいが違うことから、高いものほど質の良い茶葉を使用しているということなんでしょう。う〜ん、やはりお値段には秘密があったか...。というわけで、今度は思い切ってフォションを購入したいと思ったりしています。ちなみにあやぼーがよく行く神戸の輸入食品店では、トワイニングばかりではなくこのフォションでさえかなり安く手に入ります。このお店の場所については TEA! VOL.3 の最後の方でご紹介していますので興味のある方は見てみて下さいね。先日Meets の神戸紹介版を購入しましたが、これにも紹介されていましたよ。

さて前回スコーンを作って以来、久しぶりにお菓子作りに凝り始めたので、今回はもう少し手の込んだものをご紹介してみたいと思います。ホームメードケーキでお茶するというのもなかなか楽しい企画なので、皆さんも是非お試し下さいませ。お茶のお話そのものからはちょっとズレるので、このページはTEA! コーナーのANNEXとしてお届けしてゆくことにしましたが、そのうち本筋に戻って古今東西の茶葉の発生から流通の歴史なんかも書いてゆきたいと思ってます。でも、ま、私がお菓子作りに凝ってる間は、しばらくそれにお付き合い頂きましょう。

では今回はアーモンド・タルト作りの講習会です。タルト生地には大きく分けて、お砂糖を含んで多くお菓子系タルトに用いられるパート・シュクレと、お砂糖を含まず主にお料理系タルトやあっさりめのお菓子に用いられるパート・ブリゼがあります。タルトの中身に用いられるものによって甘味が出た方がいい場合と、さっぱりした仕上がりがよい場合があるので使い分けられているのですね。今回の場合、甘いお菓子系タルトですからパート・シュクレを使います。生地はお菓子を焼く前日に作って冷蔵庫で寝かせておくと、馴染んで美味しくなりますよ。それに生地材料の半分はバターなので作っている間に柔らかくなって来ますし、型に敷き込むために伸ばすのにも一度冷やして固まらせた方が扱いやすいと思います。

 

タルト生地 「パート・シュクレ」

材料 : 薄力粉 250g、無塩バター 200g、砂糖 75g、卵黄1個分、塩ひとつまみ 

*1 : この材料で約550グラムの生地になります。卵黄1個に対する粉やバターの関係でこの分量になりますが、直径8センチのタルトレット5個を焼くのに200グラムくらいの生地(約3分の1)しか使用しませんので、残ったものは冷凍保存しておくと後でも手軽に使うことが出来ます。使いきりたい場合は、分量比を同じにして材料を調整して下さい。

*2 : 薄力粉やバターはお菓子用として売られているものが重宝です。小麦粉は2〜3回ふるいにかけておくようにしましょう。

 

作り方 : 

 

1. ボールに冷蔵庫から出したばかりの冷えて固まったバターと、砂糖、塩ひとつまみを加え、指で練るように混ぜ合わせる。

 

 

2. これが砂糖、塩をバターに練りこんだ状態。砂糖のザラついた粉をバターによく馴染ませるように練る。但しバターが溶け出さないように、手早く混ぜること。

 

3. よく混ざったら卵黄を加えて、これも生地に馴染むまで指で混ぜあわせる。

 

4. 最後に薄力粉を一気に加え、手を大きく返すような感じで混ぜこむ。使用しているボールに対して粉が多い場合はやりにくいので2〜3回に分けて加えてもよい。

 

5. 粉がバターによく馴染んで、粉っぽい色が消えたらひとまとめにしてラップでくるみ、冷蔵庫で一晩寝かせる。一時間くらい寝かせれば使えるが、出来れば一晩くらい置いた方が扱いやすく、味の良い生地になる。

 

★ アーモンドのタルトレット ★

こうして生地が出来あがったら、いよいよタルト本体に挑戦してみましょう。ちなみに直径20センチ以上くらいの、切り分けて食べるタイプのものをタルト、直径8センチくらい以下の小さいものをタルトレットと言います。今回は、この小さいタルトレット5個分の作り方をご紹介します。

材料(直径8センチ程度のタルトレット5個分):

パート・シュクレ 200g、アーモンドクリーム約250g (材料は下記参照)、スライスアーモンド、アプリコットジャム

アーモンドクリームの材料 : 無塩バター 60g、砂糖 50g、アーモンドプードル(粉末アーモンド)50g、卵 50g(Mサイズくらいの卵1個が目安です。)


 

作り方 : 

 

1. ボールにバターを入れ、30分〜1時間くらいおいて室温で柔らかくしてから砂糖を加え、泡だて器で混ぜ合わせる。但し、バターが溶け出すほど柔らかくする必要はなく、泡だて器で混ぜやすい固さになったくらいで丁度良い。

 

 

 

2. バターと砂糖がよく馴染み、クリーム状になるまで混ぜ合わせたら粉末アーモンドを加え、均一な状態になるまで更によく混ぜる。次に割りほぐした卵を2〜3回に分けて加え、同様にして混ぜ込んでゆく。この時、なるべく全体を大きくかき混ぜるような感じにすること。

 

 

3. 打ち粉をした台に生地を乗せ、うすく粉をまぶしためん棒で伸ばす。この時まず中心から外側に向けて伸ばし、ある程度伸びたら方向を変えて生地が平均4〜5ミリの厚さになるように均質に伸ばすこと。

 

 

4. 生地を一度に全部伸ばした場合はタルトレット型より少し大きめの丸型で抜いて敷き込む。それが面倒なら、まず3分の1くらいの生地を適当な大きさに伸ばし、タルト型の上に落とすようにして大雑把に敷く。余った生地に残ったものを足して、伸ばしてから敷き込むようにすると、狭いスペースでも生地が扱いやすい。

 

 

5. どちらにしても、型からはみ出した生地は、型の上で軽くめん棒を転がすようにすると簡単に落ちる。

 

 

6. 敷き込んだ生地は上から軽く抑え、型に馴染ませるようにしておく。型にきっちり敷きこめたらフォークかピケで底面をつついて空気穴をあけておく。こうすると生地の浮き上がりを防ぐことができる。

 

 

7. これが空気穴をあけた状態。中にクリームなどを詰めずに空焼きする場合は、特にこの空気穴をあけておくことが大切。またこの状態で30分〜1時間くらい冷蔵庫で休ませると生地が落ち着く。

 

 

8.アーモンドクリームを型に詰めて、アーモンドスライスで飾りつけてから天板に乗せオーブンで焼く。160度のオーブン中段で20〜25分くらいが目安だが、使用するオーブンや予熱の度合いによって仕上がりが違ってくるので、慣れないうちは20分くらい焼いてから金串を刺すなどして中の焼け具合を確かめ、焼き足りないようなら5分くらい焼き足すようにして、使用するオーブンでの実際の調理時間を割り出すようにすると安心。ちなみにうちのオーブンでは160度で30分くらいかかりました。180度にすると25分くらい。でもこれだと火力が強いのか、ちょっと側面が焦げるような感じになります。お菓子の本によっては180(〜200)度中段で10分ほど焼き、160(〜180)度に落として下段で15〜20分焼くと、中まで火がよく通ると解説しているものもあります。

 

 

9. 焼き上がったら型からはずして冷ます。表面がキツネ色になっても、中まで火が通っていないことがあるので要注意。

 

 

 

10. すっかり冷めたら最後にお好みで表面にアプリコット・ジャムを塗る。ツヤが出るので見た目もキレイになるが、なければ特に塗る必要はない。

 

 

と、いうことで、めでたくアーモンドのタルトレットが完成しました。なかなか美味しそうでしょ? まあ、あやぼーのやることなんで、中には右の写真のような失敗作なんかも混じってたりして、やっぱりねー、という感じですが、コレは型からはずす時に崩れてしまったもの。味は同じなので、証拠隠滅にさっさと食べてしまいましたが、焼きが浅いとこんなことになってしまうみたいです。同じようにオーブンの中に並べてあっても、置かれている位置によって、弱冠は火の通り具合が弱いところがあるのかもしれません。焼きムラがあるようなら途中で一度、天板の方向を逆にするのも良いかもしれませんね。それからよくケーキを焼く時に、型の内側に取り外しやすくするためバターを塗ったりしますが、タルト生地はご覧のようにバターをたくさん含んでいるので、そのまま敷いて焼いても取り外すのにはそんなに苦労しませんでした。

ところで一番上のタイトル写真ですが、今回はアイスティで飾っています。やはりこの季節、冷たい飲み物が嬉しいですよね。これは昨年同様マリアージュ・フレールのアイスティ用ティバックで入れたものなんですが、アイスティの入れかたなどについては、TEA! VOL1.でお話していますので、是非参考にして下さいね。

さて余ったタルト生地の方ですが、これはクッキーの生地としても使えるので、次回はパート・シュクレで作れるクッキーのあれこれをご紹介しようかなと思っています。クッキーにしておくと日持ちしますし、欲しい時にちょっとつまめるのもいいですよね。写真に写っているのはドライフルーツを混ぜ込んで焼いたものですが、この他にもココアやレーズン、刻みアーモンドなどを混ぜても違った風味が楽しめますよ。もちろんパート・シュクレを覚えておくと、他にも様々な種類のタルトを作ることが出来ますので、いずれそのあたりも特集しちゃうかもしれません。

では、皆さま。夏の日の午後、ホームメイド・ケーキで楽しいティ・タイムをお過ごし下さいませ。

BGM : Morning Dance (Originally by Spyrogyra)

2002.6.26+.7.8.-9.+7.17.

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