お金をかけずに英会話

<<中級からの学習法>> その1. ボキャブラリーの広げ方

1. 単語には3種類ある

 

英会話110番シリーズを5冊学習し終わったら、かなり英語の構造が分かってきて、海外旅行に行ってもホテルに泊まったり、お買い物をしたりするくらいは不自由なくなっているんじゃないでしょうか。それは、所謂「日常会話レベルの基礎」が固まって来たということですね。

このくらいになったらTOEICで本格的に点数らしい点数を目指す、つまり470〜730レベルを目指す学習を始める時期でしょう。あやぼー的に言うと、これは大体中級から上級を目指す学習ということになり、TOEICのレベルで言えば「C=日常的な会話力の素地があり、限定された範囲で業務上のコミュニケーションも可能である」あたりということになります。もちろん時間に余裕があれば英会話110番をやりながら、これからご紹介する学習方法を追加して取り入れてゆくと、より速やかに実用的な語学力をつける役に立つでしょう。<<中級からの学習法>>では、ボキャブラリーの広げ方、聴く、読む、書く、話すの徹底学習術などをお教えしてゆきます。

ところで、皆さん「簡単な単語」ってどういうことだと思います? 一般に「desk」、「note」、「have」、「make」など、「コドモでも知ってる」という単語を皆さん「簡単な単語」と考えておられると思いますが、実は単語には「簡単」とか「難しい」とかはないんです。なぜなら、「簡単な単語」というのは日常よく見かけるもの、従って逆に「難しい単語」というのは「あまり見かけないもの」であるだけのことなんですね。そうすると英語は習うより慣れろとも言うように、沢山の英文を毎日見続けていれば、多くの「難しい単語」が「見たことある単語」に変わってゆくわけです。

しかし、それも行き当たりばったりにそのへんにある英文を見てりゃいいかというとそうではなく、単語や熟語の学習も科学的分析に基づいてシステマティックに行う必要があります。では、システマティックなボキャの広げ方とは、どういったものなのでしょうか?

 

★単語には3種類ある★

無限にある単語ですが、実はこれらはたった3種類に分類することができます。それは、

1.話し言葉に使われる単語

2.主に書き言葉に使われる単語

3.専門用語

だいたいこれは日本語も含めてどんな言語でも同じだと思いますので、日本語を例にとって考えると納得してもらえることと思います。日常の話し言葉では所謂「書き言葉」に属する言葉は頻出しませんし、専門用語はそれが使われる世界に属する人以外は一生知らないで済ませてしまう場合もよくあります。つまりこれは、単語の使用頻度と関わってくることなのですね。日本語でも、ちょっと難しい本に書いてある四字熟語や故事成語、また専門書の医学用語などを我々日本人が全て知っているわけではない。これは英語においても同じなのです。

日常会話におけるコトバの頻出度ヒエラルキー

 

そこで、実用性のある会話力を含んだ語学力を身につけようとすれば、まず1.に属する日常の頻出単語から押さえてゆくことが大切だということは理解して頂けるでしょう。しかし、学校英語においては、テキストは殆どの場合「文章」です。つまり、そこに出てくる単語や熟語は1.も含んでいるものの、主に2.に属する言葉や用法が多用されているということになり、ここにも、「学校英語」では日常会話についての実用運用力がつかないカリキュラム上の欠陥があると言えるでしょう。つまり、「読んで書けても、聞いて喋れない」。このことを裏付けるかのように、「日本人は、やたら難しい言葉ばかりよく知っているのに、当たり前な言葉を知らなかったりする」と言われたりもします。

しかし日常会話においては、「英語は6動詞で事足りる」とまで言われるくらい、go, come, get,, give, take, put などのよく使われる動詞を用いたイディオムが多用されます。つまり、書き言葉で使われる動詞は、「話し言葉」ではこれらのよく見かける動詞を用いたイディオムで代用されてしまうわけです。これと同様に、日常会話で使われる単語も、TOEIC600レベルでは5000語が目安と言われるように、頻出度の高い言葉は、ある程度決まっているということなのですね。

それなら、会話に最も多く用いられている単語や熟語から馴染んでゆけば、おのずと理解力の素地が固まってくるのは自明の理です。頻出しない単語も上級になってくれば自然と覚えるようになるもので、そもそも英語を理解する素地がないのに、頻出しない単語ばかり必死で覚えても、それはちっとも偉くありません。どうせあんまり出て来やしないんですから、そういうのは後で構わないのです。

さて、これだけのことが分かれば、いきあたりばったりでテキストに出てきた単語を覚えるというような原始的かつ非効率的なやり方ではなく、もっと科学的な統計学的分析の上に成り立った、効率の良い学習方法を案出することができます。しかも、我々にはTOEICテストという強い味方がある。このテストがあるおかげで、世の中には実に沢山のTOEIC対応参考書なるものが出回っており、それらは既にTOEICにおいて頻出する単語を統計的に分析研究してまとめてくれてあるのです。そして、TOEICそのものが日常の生活で頻出する言葉を統計的に分析して組み上げられたテストなのですから、従って、これを扱った参考書の中から優秀なものを選び、正しい方法で記憶するように務めてゆけば、日常よく使われる言葉にも強くなり、おのずとTOEIC高得点も目指せるということなのですね。

英語学習において正しい道というのは、結局のところオールインワンのワンセットになっているもので、その道さえそらさなければ、努力は必ず報われるんですが、はずすと一流大学に入るためにどんな過酷な塾通いを続けるような勉強をしても、大学に入ってまで英語を勉強しなきゃならないという悲惨な結果を生んでしまう。こういうムダは全国的にもうやめなければならない所にとっくに来ていると思います。ちなみに、大学入試は学校英語の究極ですから、これを目標に覚えた単語は主に「書き言葉」に属するものが多く、従ってそれを一生懸命覚えても日常会話力がついていないのも当然のことと言えるでしょう。

 

 

新TOEIC TEST シリーズ

・入門1200語 - スコア470レベル

・基礎1200語 - スコア600レベル

・頻出1200語 - スコア730レベル

・必修1200語 - スコア860レベル

語研・各1890円

 

さて、読者の皆さんに自信を持ってオススメできる参考書を見出すべく、現在出版されているTOEIC関係の書籍をいろいろ見てみたんですが、なかなかこれもピンキリなようで、「これじゃ学校英語と同じじゃん」というようなのまであって、選択は慎重にしなければならないようです。実際、ああ、これもダメ、コレも足らん、とゆーよーなのばかり見せられて、結局行き着いたのが「新TOEIC TEST 1200語シリーズ(1890円)」でした。「ふーん、これならいいかも」と思って出版社を見ると、何のことはない、以前のバージョンで私がよく使っていた語研さんの本でした。ニュー・バージョンではTOEICのレベルを470、600、730、860に分けて、一冊ごとにそれぞれのレベルをクリアするのに必要な1200語を網羅してあります。ですから、ご自分の目指すレベルに合わせて、習得すべき単語を選択できるわけです。

この本の優れているところは、各単語に発音記号と、日常会話の範囲内なら十分な数の意味が付記され、更に全ての単語に必ず例文が添えられていることです。そして、この例文が米、英、オーストラリア、カナダどれかの発音を用いて録音されているCDも付属しています。これで新TOEICテストで新しく採用された「4ヶ国語発音」にも慣れることができますね。

※ただし、「4ヶ国語発音」に対応するためか発音記号が標準と違っている場合があるので、記憶する時はその点を念頭に置いて混ざらないように注意して下さい。


さて、優秀な書籍が見つかったら、次は正しい方法について考えてみましょう。

従来、単語を覚えるというと、必ずスペルと日本語の意味をワンセットにして覚えておられたことと思います。ヤメましょうね、日本語覚えるの...。人間の脳のメモリなんてコンピュータに比べればタカが知れているんですから、こういうことをやっているとすぐに「メモリ不足」の警告が出てしまいます。それにスペルよりまず「発音」を覚える方が先です。

英語圏の文盲率は日本より遥かに高いことはよく知られていますが、つまり、英語圏の人たちでも母国語を「読めないし書けないけど話せる」というヒトはとても多いんです。日本人が外国語としての英語を学習する場合、おのずと書いたものにも触れますから、コトバと発音を押さえていれば、スペルも「なんとなく」覚えてゆくものです。正確なスペルが必要な時はたいてい文章を書く時ですから、その状況では辞書を引くことが出来る場合が多いのも日本語を書く時と同じです。

実際的な状況に対応して、切迫して必要な要素を優先的に覚える方が先というのは、納得して頂けるリクツと思います。それでは、次章で実際的な学習法を追求してみましょう。

2007.6.3.+6.18.-6.19.

>> その1-2.単語は調べる前に意味を考える