四の五の言わずに黙って暗記 - 文法なんてカンタンだ!!

基礎篇★その16.前置詞

4.頻出する前置詞 @)押さえるべき10の表現

 

「場所」と「時」を表現する前置詞は最もよく使われるものですが、ここでは、その他にも覚えておくと役立つ、日常的に頻出する前置詞の使い方を紹介してゆきましょう。例文ごと覚えてしまっておくと応用が利いて便利です。 

 

1.材料(〜から)を表すof / from と完成品(〜になる)を表すinto

・完成したものから材料の形状がそのまま分かる場合は「be made of

・材料の形状がすっかり変化してしまっている場合は「be made from

 ※口語では「be made out of」もよく使われます。

・上のふたつは完成品を主語にして「〜から作られる」の形になりますが、逆の表現で材料を主語にして「〜になる(〜に作りかえられる)」という言い方になる場合は「be made into」を使います。

 

ex) 

A book is made of paper. (本は紙で作られる)⇔Paper is made into a book. (紙は本になる)

Wine is made from grapes. (ワインはぶどうから作られる)⇔Grapes are made into wine.(ぶどうはワインになる)

 

.原因(〜が原因で、〜のために)を表すof / from

「〜が原因で」の意味でof やfrom が使われますが、材料の時のようにどういう場合にどちらが使われるという明確な区分がありません。ただ、日常一般にどの動詞とセットになるかとか、何が原因かによって、どちらが使われる傾向にあるかという程度の区別はあるので、よく使われるものはイディオム的に覚えておくと良いでしょう。

ex) 

die of cancer (a disease, hunger, thirst, sorrow, disappointed love)

  (癌 [病気、飢え、渇き、悲しみ、失恋] がもとで死ぬ)

die from a wound (fatigue, drinking)

  ([けが、疲労、酒] がもとで死ぬ)

suffer from overwork (過労で病む)

 

※例に見るように、die of / die from とは言いますが、suffer from (with, for)とは言っても suffer of とは言いません。このあたりが前置詞の使い分けが難しくなる原因のひとつでしょう。沢山の英文に触れていると感覚的に身に付いてくるので悩まずすんなり使えるようになるものなんですが、文法的線引きで選ぼうとすると割り切れなくなってしまうからです。何度も書きますが、このようなことがよくあるので、的確に前置詞を使いこなすコツは英文を沢山見ることにつきると言えます。

 

.手段(〜で)を表す with / in / by

・手段が道具の場合は「with」 ・・・ ex) write with a pen (ペンで書く)

・手段が物質の場合は「in」・・・ ex) write in ink(インクで書く)

・手段が交通機関の場合は「by」・・・ ex) by car, by bus, by train (クルマで、バスで)

  ※交通機関に時刻などの修飾語が付く場合は冠詞を伴い、「by the 4:30 train」 のように言います。

ただし、これにも変則的に「徒歩で= on foot」のような決まった言い方があります。前置詞を使い分けるのが苦手な人は、このように文法で割り切れない例外や変則があると理解すると「なぜ自分は前置詞を使えないか」の原因がどこにあるかも分かってくるのではないでしょうか。文法はあくまでガイドラインでしかないと認識して、日ごろから沢山の英文に触れることを心がけて下さい。

 

.代価(〜で)、比較(〜のわりには)、賛成を表す for / 反対、背景(〜を背景にして)を表す against

賛成⇔反対を表現するのは for ⇔ against ですが、それぞれ他にも使い方がありますので、セットにして覚えておきましょう。

ex) Jane was for the plan. (ジェーンはその計画に賛成だった) 

 ⇔ Jim was against the plan. (ジムはその計画に反対だった)

※口語では、「賛成だね」の意味で 「I'm with you.」と言うこともあります。

(代価のfor) ex) He bought the car for fifty thousand dollars. (彼はその車を5万ドルで買った)

(比較のfor) ex) It's not so cold for February. (2月にしては、そんなに寒くない)

(背景のagainst) ex) The tall building rises against the blue sky. (のっぽのビルが青空を背景にそびえている)

 

5.着用(〜を身につけて)を表すin

ex) She was in a blue dress. (彼女は青いドレスを着ていた)

 

.飲食、従事(〜しながら)を表すover

ex) They enjoyed conversation over a cup of tea. (彼らはお茶を飲みながら会話を楽しんだ)

 

.模倣(〜にちなんで)を表すafter

ex) She was named Margaret after her grandmother. (彼女は祖母にちなんでマーガレットと名付けられた)

 

.伴奏(〜に合わせて)を表すto

ex) Beth was singing to the guitar. (ベスはギターに合わせて歌っていた)

 

.除外(〜の他は、〜を除いて)を表すexcept / 追加(〜の他にも、〜に加えて)を表すbesides

exceptは「対象の除外」を表現しますが、besidesは「対象に対する追加(〜に加えて)」を表現します。

ex) 

She has no sons except this boy. (彼女には、この子の他に息子はいない)

She has two sons besides this boy. (彼女には、この子の他にも息子が二人いる)

 

なお、except は「except for(= but for 〜が無ければ、無かったなら)」の形でもよく使われます。「except for」は単に「除外」ではなく「仮定としての除外」のニュアンスが入るようですが、for が入るか入らないかは微妙なニュアンスの問題なので、意味としてはどちらを使っても「対象の除外」であることに変わりはありません。ただ、表現する内容が単なる除外であるか、それとも仮定を含んでいるかは場合によるので、それに応じて使い分けられるということでしょう。

ex) 

Except for his laziness, he would be a good man. (怠けさえしなければ、彼は良い人なんだが)

Except for you, I think I should have killed myself. (貴方がいなければ、私は自殺していたことでしょう)

 

また、besides と関連して注意しなければならないのが単に位置を表現する「beside(〜の側に)」との違いです。「s 」ひとつで全然意味が違うので、セットにして覚えておきましょう。

ex) There are two cats beside him. (彼の側にネコが2匹いる)

   

10.to one's [感情を表す語] = 〜が・・・したことには

ex) To my great joy, he passed the examination. (大変嬉しいことに、彼は試験に合格した)

 

前置詞を使った表現はそれこそ無数にあるわけですが、無数にある単語の中でも頻出するものを優先して覚えることが理解の素地を固めるのに有効なように、前置詞の用法も頻出するものから押さえてゆくことが大切です。自信を持って前置詞を使えるようになるためには、まず「場所」「時」「頻出用例」あたりからきっちり把握してゆきましょう。知識が蓄積すればするほど、英文の理解はたやすくなってきます。次の章では更に、動詞や形容詞とセットになっていて、体系立てて覚えておくと便利な用例をご紹介しますので、そちらも一緒に覚えておいて下さい。

  

2008.5.19.-5.20.

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