四の五の言わずに黙って暗記 - 文法なんてカンタンだ!!

基礎篇★その16.前置詞

2.場所(位置)と方向を表現する前置詞 

 

この章では、主に場所(位置)や方向を表現するのに使われる前置詞を集めて解説します。それぞれの前置詞の意味はこれだけではなく、他にもいろいろな用法がありますが、まずは頻出する基本的な感覚から身につけてゆきましょう。

 

1.over / on ⇔ under(beneath)/ above ⇔ below / up ⇔ down 

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特に、above, under, below, beneathは

一般に空間全体を指します。

 

水平方向の基準線に対して、

over ・・・ 接地せず上方、上方を覆う感じ、何かを越えて向こうへ行く方向性

above ・・・ 空間として上

 ⇔ below・・・ 空間として下

on ・・・ 接触して上(乗っかってる感じ)

 ⇔ under (beneath) 

      ・・・ 基準となる位置から下(基準線と接触していない場合も使う)

up ・・・ 上方へ (上昇感覚が加わります)

 ⇔ down ・・・ 下方へ (下降感覚が加わります)

 

※under, beneath, below は、どれも空間的に基準線より下を指しますが、

under は垂直に「真下」、beneath は「接して下」、below は「空間的に下」

という微妙な差があるとも言われています。しかし、under the ground = beneath the ground のように、どっちでも使えるなどということも少なくなく、また逆に、under control = 「制御されて」のようにイディオムとして成立していて他の語は使わない場合もあるので、こういった前置詞の使い分けはやはりリクツではなく、沢山の英文に触れることで習慣的な使い方を感覚的に掴んでゆくより他ないのではないかと思います。

従って、ここで説明している文法的な線引きはあくまで基本と理解して下さい。

 

ex) ※以下の例は、前置詞の示す位置や方向感覚を確認しながら覚えて下さい。

The clear blue sky spread over our head. (我々の頭上には晴天の空が広がっていた)

Grasses glow all over the field. (野原中に草が生えている)

There's a bridge over the river. (その川には橋がかかっている)

A balloon was floating above the ground. (気球が地上高く浮かんでいた)

The voice came from below the floor. (その声は床下から聞こえてきた)

The book is on the desk. (その本なら机の上です)

He hid the cat under the desk. (彼はネコを机の下に隠した)

She went up the stairs. (彼女は階段を登った)

She ran down the stairs. (彼女は階段を駆け降りた)

 

2.at / in /into ⇔ out of / for / to /toward(s)

 

@)at / in /into ⇔ out of 

at ・・・ 地点

in ・・・ 範囲、空間

into ・・・ 任意の範囲内へ入る

 ⇔ out of ・・・ 任意の範囲内から出る

ex) 

He's at the desk.(彼は机に向っている = 机のところにいる)

He's in the room. (彼は部屋にいる)

He walked into the room. (彼が部屋に入って来た)

He walked out of the room.(彼は部屋を出て行った)

  

※outは本来形容詞、副詞として多く用いられる言葉で、これを単体で「〜から出る」の意味の前置詞として用いるのは米語用法とされています。しかし、この場合も「出口」を意味するthe window や the door と結びついてout the window, out the doorのように限られた場合しか使われず、それ以外では一般に米語でも「out of」が使われると言われます。「out of」は辞書では一般に副詞用法のoutの項目に入れられているようですが、前置詞的な使い方がされているのが実際なので、実用的な使い方としてこの形で使われると覚えておけば良いと思います。

ちなみに、beなどの連結動詞に続く「out」が形容詞か副詞かを判断するのは一般に困難とされており、要するに文法上の分類がネイティヴでもプロでも非常に難しい語であるということです。こういうものはヘタに追求せず、実際にどう使われているかに倣っておけば問題はないでしょう。

 

 

A)to / for /toward(s)

to ・・・ 明確な到達点を示す

ex) He walked to the City Hall. (彼は市役所へ歩いて行った)

 ・・・ 市役所が明確な到達点であることに話者の焦点がある。

 

for ・・・ 任意の到達点に向うことを示す

ex) He got on the bus for the City Hall. (彼は市役所行きのバスに乗った)

 ・・・ 方向を表現するforは、start, leave, sail などと共に用いられて「〜行きの、〜に向けて」を意味することが多い。この場合、到達点そのものではなく、「向う方向」がどこであるかに話者の焦点が置かれている。

なお、start for, sail for, leave for であるのに対し、逆に、「〜から発つ」と言う場合、start form, sail from となるが、leave のみは前置詞が付かないことも合わせて覚えておきましょう。

 

toward(s) ・・・ 漠然と向う方向を示す (必ずしも到達点を意味しない)

ex) He walked towards the City Hall. (彼は市役所の方向へ歩いて行った)

  ・・・ 市役所が明確な到達点とは限らず、あくまでもその方向を向いて行ったことに話者の焦点がある。

 

 

3.between / among

between ・・・ 二者の間で

ex) This is between you and me.(これは秘密です = 私と貴方の間だけのことです)

 ※一般に「between A and B」の形で用いられます。

 ※This is between you and me. は慣用表現で、日本語で言う「ココだけの話だけど」の意味でよく使われます。 

 

among ・・・ 三者以上の間で

ex) He's happy among the beautiful girls. (美女たちの間で、彼はご機嫌だ)

  

 

4.along / across / through

 

along ・・・ 〜に沿って

ex) He pointed at one of the shops along the street.

 (彼は、通り沿いの店の一つを指差した)

 

across ・・・ 〜を横切って、〜の向こう側に

ex) He pointed at one of the shops across the street.

 (彼は、通りの向こうの店の一つを指差した)

 

through ・・・ 〜を通り抜けて

ex) We walked through the street. (我々は歩いて通りを抜けた)

 

 

5.round (around) / about

@)round (around) 〜の周囲に(取り囲むイメージ)

Light travels round the earth seven times and a half in one second.

 (光は1秒間に地球を7回半回る)

There are many trees around the house.(家の周りには木が沢山ある)

There are many small towns around the city. 

 (都市の周りには小さな町がいくつもある)

※aroundには前置詞と副詞用法、roundには前置詞,、形容詞、副詞、名詞、動詞の各用法があります。その関係からroundが主に「運動(回る)」、aound が主に「位置(回り)」を表現するとも言われますが、実際にはこの区別は厳密なものではないので同様に使われているようです。なお、アメリカではaround、英国ではroundが使われる傾向にあるとも言われます。

 

A)about 

nearのニュアンス(〜の辺りに(漠然と周辺を意味する))で使われる場合と、

around のニュアンス(〜の周りに)で使われる場合の両方があります。

He's somewhere about here. (彼はこの辺りのどこかにいます)

 = He's somewhere near here.

 = He's somewhere around here. 

She threw a light wrap about her shoulders. (彼女は肩に軽いショールを羽織った)

 = She threw a light wrap around her shoulders.

 

前置詞にはそれぞれこのように様々なニュアンスを含む用法があります。従って互換性があるものも多いのですが、どのような場合にどれが使われるか習慣的に定まっている場合もあり、これを文法的法則性だけで割り切ることはできません。文法とは「実際に使われている多様な口語表現から、一定の法則性を見出してまとめたものにすぎない」ので、それだけで英語を使いこなそうとすること自体が無謀と言わざるを得ません。前置詞や冠詞を使いこなそうと思うなら、法則性を学ぶと同時に、日ごろから沢山の英文の実例データに触れるよう心がけて下さい。

 

2008.4.29.-4.30.

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