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基礎確認篇★その13.冠詞

3.省略と反復

 

前章までで冠詞の種類と基本的な用法については解説しましたので、このページでは特殊な場合、つまり冠詞が省略される場合や、and で結ばれた前後の名詞両方に付くか、最初だけに付くかで意味が変わってくる場合について説明してゆきましょう。

 

冠詞の省略

@) 以下の「冠詞相頭語」は冠詞と同等の要素と考えられるため、ひとつの名詞に対して併用されることはありません。

・ this (these)、that (those)

・所有格の名詞、代名詞

・another、some、any、each、either、neither、every、no など

・数詞 one 

 

A) イディオムとして成立していたり、習慣的に省略される場合があります。

@ 任意の範囲において1人しかいない身分や官職を表す名詞が、固有名詞と同格、もしくは補語として用いられているとき。

ex) He was elected mayor of the city. ・・・ 補語

  (彼は、市長に選出された。)

  Mr. Tanaka, professor of English Literature at the university, is from Miyazaki. ・・・ 同格

  (田中氏、その大学の英文科教授だが、宮崎の出身だ。)

 

A 建築物などの名詞が、そのもの本来の目的を表すとき。

ex) go to school (通学する)、go to church (礼拝にゆく)、go to market (買い物にゆく)、

  go to bed (就寝する)、be in hospital (入院している)at table (食事中)、in prison (服役中)、

  by bus (バスで)、on foot (徒歩で)

これらは慣用表現として暗記しておくのが良いでしょう。

 

B 2つの名詞が対句をなしていたり、セットで用いられているとき

ex) man and wife(夫婦)、 men and women (男と女)、master and pupil (師弟)、father and son (父と子)、

  from door to door (一軒一軒)、step by step (一歩一歩)、

  arm in arm (腕を組んで)、from morning till night (朝から晩まで)、 flute in hand/hat in hand  (笛を手にして/帽子を持って)

これらも、よく使われる慣用表現なので、そのまま暗記しておきましょう。

 

C @〜Bの他に、慣用的に冠詞が省略されるイディオムは沢山あります。こういうものに法則性を見出すのは困難ですので、丸暗記しておくのが実際的でしょう。

ex) by accident (偶然に)、by mistake (誤って)、in fact (事実上)、by name (名前で、名前は)、

  take place (起こる)、take part in 〜 (〜に参加する)、take root(根づく)、go to sea (船乗りになる)、

 

D A kind of 〜(一種の、ある種の)に続く名詞

ex) It's a kind of mammal. (それは哺乳類の一種だ。)

  He is a kind of genius. (彼はある種の天才だ。)

 

E 「無冠詞の名詞+as (though) + S + V 」 の形で、譲歩文に用いられているとき

ex) Giant as he is (= Though he is a giant), he is afraid of a dog. (大男なのに、彼は犬をこわがる。)

 

F Man が「人間」の意味に用いられているとき

ex) Man is an emotional being. (人間とは感情的なイキモノだ。)

 

G 家族や親族を表す名詞が、特定の人を指して固有名詞的な扱いになるとき

Mother went to hospital to give birth. (母は出産のために入院した。)

 

H 呼びかけに用いるとき

ex) Professor, would you tell me about what is wrong in my report? 

(教授、私のレポートでどの点が誤っているのか教えて頂けますか?)

 

2.冠詞の反復

and で結ばれた名詞の両方に冠詞がつくか、前にだけつくかで意味が変わってくることがあります。以下のような場合に注意して下さい。

@ and の前後の名詞が別々のものを指しているか、ひとつのものをさしているか

ex) There is a study and drawing room in this house. ・・・ ひとつのものをさしている場合は冠詞は前にだけつく

  (この家には、書斎兼用の客間がある。)

  There are a study and a drawing room in this house. ・・・ 別々のものをさしている場合は冠詞は両方につく

  (この家には、書斎と客間がある。)

 

A and の前後の形容詞が別々のものを指しているか、ひとつのものを指しているか

ex) A red and yellow tulip is in bloom. ・・・ ひとつのものをさしている場合は冠詞は前にだけつく

  (赤と黄色の混ざったチューリップが咲いている。)

  A red and a yellow tulip are in bloom.・・・ 別々のものをさしている場合は冠詞は両方につく

  (赤いチューリップと黄色いチューリップが咲いている。)

 

B and で結ばれた名詞がセットになってひとつのものを表している時は、冠詞は最初にしか付かない

ex) the bread and butter (バター付きのパン)、the brandy and water (水割りのブランディ)

  a cup and saucer (受け皿付きのカップ)、a watch and chain (鎖付きの時計)、a needle and thread (糸を通した針)

 

では、以上のような点に注意して、以下の日本語を英語に直してみて下さい。極力、日本語で考えず、イメージを自動的に英語にする努力をしましょう。もちろん、発音やイントネーションにも注意して下さい。すぐに言えなかった場合は正解例を見て記憶し、少し時間を置いてから言えるかどうか試してみます。これを何回か繰り返すうちに、日本語に対応した英語が難なく出てくるようになると思いますよ。

1. 彼はこの夏、船乗りになった。

1. He went to sea this summer.

2. 彼はこの夏、海に行った。

2. He went to the sea this summer.

3. 若い女性ながらも、彼女は家族を養うために一生懸命働いた。

3. Young girl as she was, she worked hard to support her family.

4. 黒白ぶちの犬が、芝生で寝そべっている。

4. A black and white dog is lying on the grass.

5. 黒い犬と白い犬が、芝生で寝そべっている。 5. A black and a white dog are lying on the grass.

正解例では、下線を付けた部分の用法に注意して覚えて下さい。 

 

2007.12.2.

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