VOL4. アイビー・リーフを育てましょう

春ともなれば園芸店の店先に必ず並ぶ植物がミニバラとアイビーではないでしょうか。今回は寄せ植えなどでも大活躍している可愛いアイビーリーフについて、お話ししましょう。

今カワイイ、と書いてしまいましたが、確かに一般的にはアイビーというのは可憐で可愛い植物です。そのはずなんですが、ではコレはなんだ?! と横の写真を見て思われる方もあるかもしれません。そうなんです、コレはうちのお化けアイビー。飼い主が剪定もせずに成長すればするほど大きな鉢に植え替えるという間違いをやってしまったために、ますますデカくなり、今や一抱えもあるような鉢に堂々とはびこる有様で、ちっとも可憐な感じなんかしやしません。ホントは適当な所で剪定し、葉を整理しなければならないものなんですが、最近でこそミニバラの剪定に慣れた私も、もともとはあまり伸びている植物の葉をぶった切るというのは可哀想な気がして出来ずにいたものでこの通り。もうここまでデカくなってしまっては、それこそ今から小さくするといのも可哀想で、そのままにしてあります。日当たりの良い所に置いてあるので、ますます葉っぱテンコ盛り状態が進行していますが、次々新しい葉が出るので、元気なコトは元気なんでしょう。もう殆ど野生化していると言ってもいいかもしれません。茎の部分などはツルなんてもんじゃありませんよ。枝です、枝。アイビーって木だったんですか???

しかしコイツらだって、もとは掌サイズの小さなプラスティックの器に入って売られていた小さくて可愛いアイビーだったんです。皆さん、このような失敗をしないために、ひとつここでアイビーの育てかた、増やし方などを聞いて下さいね。うちのはもう手遅れです。しくしくしく...。

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まずアイビーはヨーロッパ、北アフリカ、西アジアが原産で、ヘデラとも呼ばれ、寒さや乾燥、日当たりの不足にも強いため、屋内、屋外を問わず比較的カンタンに育てられます。ドラセナ類のような極端に寒さに弱いものを除いて、ふつう植物は5度くらいの寒さまで耐えられるものですが、アイビーは更に強く、3度くらいまで下がっても大丈夫だそうです。冬に寒さがきつかったり、屋外に出していたりすると一時的に葉が赤くなりますが、これは病気ではなく暖かくなるとモトの緑に戻ってゆくので心配ありません。種類も豊富なので全体に緑のもの、黄色みがかったもの、斑点の入ったものなど、いくつか並べておくと楽しいですね。また、アイビーのようにツルのよく伸びる植物は、ワイヤーで形を作って絡めるなどして仕立てを楽しむことも出来ますよ。

さてお手入れの方法ですが、春先や秋口のように昼と夜の温度差が大きい季節につるが一番よく伸びるものなので、剪定や植え替えは、この時期にするのが良いそうです。斑点の入っている種類は日光が不足すると緑がきつくなって斑がキレイに出なくなるので、年間を通じて日当たりの良い所に置いてあげるように心がけて下さい。水やりは土の表面が乾いたらやるようにし、鉢底から少し流れ出す程度に、たっぷりあげます。冬は鉢土が乾きにくい状態にあり、あまり水をやりすぎると株が傷むので夏場よりは控えめに。目安としては週に2〜3回くらいで良いのではないでしょうか。あくまで土の状態を見て、乾いていたらあげるのがコツですよ。またアイビーは特に肥料を必要とするようではありませんが、一ヶ月に一度くらいやっておくと元気が良いようです。特に春先に暖かさで成長が促進されるような時期に肥料を与えるようにすると、葉の色つやや、ツルの伸びもよくなると思います。

次にアイビーを増やす方法もお教えしておきましょう。実は以前、たまたま先の方でツルが折れた部分があったので、葉もついててキレイだし、と思って水に挿しておいたことがあります。この時は確か、小さな器に水だけを入れて、枯れるまでと思って挿しておいただけだったんですが、びっくりしたことには数週間後に見てみると、足元ににょきにょき根が生えて来ていたんです。「アイビーって強いなあ...」と感心しましたが、そのまま置いておくと更に今度はツルから新しい葉まで出て来て、水だけでどんどん成長してゆきます。いつのまにか足元の根は器いっぱいにはびこり、ツルもどんどん伸びてくるので、今でもそのままガラスの器に入れた水に挿してあって元気に生きているから驚きですよね。でも、その気でアイビーを増やすなら、挿し木する時に器の底に発根促進剤というものを入れておきます。これは同時に根腐れを防ぐ効果もあり常に水を浄化してくれるので、いちいち水を入れ替える必要もありません。普通は2週間くらいで根が出たあと土に植え替えるものなんですが、そのまま発根促進剤を入れた水に挿しておいても、更にツルが伸びて葉が出て来ます。但し水に挿してあるものは、土植えのように巨大化はしません。成長も遅く、逆にあまり育って欲しくない場合はこの方が良いかもしれませんね。挿し木に適している時期は4月〜9月頃だということです。

長く伸びたツルの先端15cmくらいをカット。

 

 

発根促進剤を底に並べた器に挿し

2週間くらいそのまま置く。

 

根が十分に出たら鉢に植えるが、

株と株との間は成長した時の

ことを考えて少し間隔を空けること。

水はたっぷりと与え、

3〜4日は半日陰に置く。

 

発根促進剤の一例

白いものの他にハイドロ・ボールみたいな色のものもあるが効果は変わらない

 

また、いつの間にかツルばかりが伸びて葉がまばらになり枯れかけてくるという現象が出てしまったら、それは極端に日当たりが悪いとか、水をあまりあげていなかったなどの原因があるのではないかと思います。先ほども書いたようにアイビーは大変生命力の強い植物なので、ある程度枯れかけて来ていても再生することは可能です。状態が良くない場合、根元の2〜3節を残して切り、古い土を3分の2程度落として新しい土に植え替えてやります。植え替えて一週間くらいは直射日光は避け、カーテン越しなどの明るい場所に置いて水やりもしっかりしてあげて下さい。その後、更によく日が当たるようにしてやれば、またツルが伸びて元気になってくると思いますよ。

それからアイビーはよく栽培用のプラスティックの黒い器に入って売られているのをみかけますが、これは買って帰ったら早めに適当な大きさの素焼き鉢に植え替えてあげることをオススメします。あやぼーの経験では、そのままにしておくと水ハケが悪いのか、すぐに「枯れるぞ〜」というような状態になってしまったことが何度かあります。ま、どのような植物でもなんですが、日当たりと適度な水やり、そして風通しが健康を保つ秘訣のようですね。

 

では以下に幾つかホントに「可愛いアイビー」の写真を載せておきましょう。ウチのオバケアイビーの写真だけだと、これから育てようと思っておられる方が、ヒビってしまわれるかもしれませんからね。剪定をしっかりと行い、あまり大きな器に移すようなことさえしなければ、まずウチのやつらのような状態にはならずに済みますから安心して下さい。これからの季節、ますます出回るアイビーを、貴方の窓辺にも飾ってみませんか?

 

2002.4.8.-4.9.


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