あやぼーの文法教室*文法なんてカンタンだ! - 中級篇4. 比較表現 (RSS2.0)

四の五の言わずに黙って暗記 - 文法なんてカンタンだ!!

中級篇★その4.比較表現

1. 比較級と最上級 ⅱ) 比較級の注意点

　　　

比較級は主語と同種の他者、もしくは一団と看做せる同種の他者の集団との二者間における態様を比べて言う時に用いられる表現です。従って、必然的に「～よりも・・・」という内容になるため、原則として接続詞thanが伴われることになります。しかし例外もあるので、ここでまとめて解説しておきましょう。

１. 基本形

ex) The pen is mightier than the sword. （ペンは剣よりも強し）

基本は「比較級+than+比較する相手」の形で用いられます。上例では主語（pen）と「力を発揮するもの」という意味で同種の性質を持つ比較対象（sword）を並べて、その強さ（mighty）を比べているわけですね。ここで注意するべきはthanが接続詞であるという点です。従って、上の例は本来thanの後に主語、述語を持つ文が続いて、

The pen is mightier than the sword is mighty. （ペンは剣が強いよりも強い）

となるのですが、前半と重複する内容は習慣的に脱落することがよくあります。その際、この例ように比較する相手が名詞であれば形に変化はないので問題はありません。しかし例えば、「彼女は彼より勤勉だ」という文のように代名詞が比較する相手である場合は代名詞の格が問題になります。

She is more hardworking than he (is hardworking).  （彼女は彼が勤勉であるよりも勤勉である）

が本来の形ですから、重複する内容が脱落した後も

She is more hardworking than he. （彼女は彼よりも勤勉である）

となるのが文法的には正しい形です。ただし、特に口語ではここに目的格の代名詞が来ることもよくあるので、実際的にはthan him でも構わないわけですが、知識として「ここには本来は主格がくる」ということも覚えておいて下さい。このように本来は主格であるはずの代名詞が目的格に変わる例は接続詞asの後でも起こることがよくあります（※用例についてはこちらを参照して下さい）。

なお、下の６. で解説するようにthanの変わりにtoが用いられる場合が稀にありますが、このtoは前置詞なので、続くのは目的格である点にも注意が必要です。

　　　　　　　　　　

２ than以下の省略. 

文意から何と比較しているのかが明らかな場合は、比較級になった語だけが残ってthan以下の文が省略されることもしばしば起こります。

ex1) She is clever, but you are cleverer （than she）.　（彼女は賢いが、あなたはもっと賢い）

ex2) I feel better (than ever) today. （今日は、[これまでより] 気分がいい）

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

３. 比較対象の明示と代用

比較される対象は同種のものであるため、後半部分で内容の重複が起こることがあります。しかし、その場合にもthan以下の内容が省略できないこともあり、このような時は代名詞で代用されます。例えば、

The ears of rabbits are longer than those of dogs. （ウサギの耳は、犬のそれより長い）

この場合、比較されているのは「耳」なので、後半で重複する部分を省いて"longer than dogs"では意味を成しません。そこでthe ears of の代用としてthose of が用いられることになります。また、

His collection of books is larger than mine. = His collection of books is larger than my collection of books. 

　（彼の書籍コレクションは、私のより大きい）

このような場合も、前半との重複を避けるために所有代名詞を用いて代用することで、比較対象を略するのが一般的です。日本語ではどちらも、「犬のより長い」、「私のより大きい」と言えてしまうため、英文にする時は同じ感覚を持ち込まないように注意して下さい。

　　　　　

４. 比較内容についての程度を示す

比較される内容について、その程度を示すには比較級の直前にmuch (ずっと)、far/by far (はるかに)、a little (少し)などを置きます。

ex1) He is a little older than I. (彼は私より少し年上だ)

ex2) Mary is much more beautiful than you. (メアリは、あなたよりずっと美しい)

　　　　

５. 比較内容についての具体的な数値の明示

比較される内容について、その程度を数値により具体的に示すには、比較級の直前に「数+単位」を用いて示す方法と、文尾に「by+ 数 +単位」の形で示す方法があります。なお、このbyは程度、度合いを示す用法で「～ほど、～だけ」などのニュアンスを持ち、数値ばかりではなく漠然と量を表す語句と一緒に使うこともできます。

ex1) He is three years older than I. = He is older than I by three years. (彼は私より3才年上だ)

ex2) Tom is three inches taller than Mary. = Tom is taller than Mary by three inches. (トムはメアリより3インチ背が高い)

ex3) His new car is a great deal larger than his old one. = His new car is larger than his old one by a great deal. 

　(彼の新しいクルマは、前のよりずっと大きい)

　　　　　

６. thanの変わりにtoを用いる場合

ⅰ) ラテン語源の語

「-or」で終わるラテン系の語(superior ⇔ inferior、senior ⇔ junior、prior ⇔ posteriorなど)を用いる時は、比較する相手を示す後続部分をthanではなくtoで繋ぎます。1. でも書いたように、このtoは前置詞なので、後に代名詞が続く時は目的格になる点に注意して下さい。なお、これらの形容詞はその意味自体に「勝る/劣る、年長の/年少の、前に/後に」のように、他と比較するニュアンスが含まれているため、形を比較級に変える必要はありません。

ex1) He is superior to me in ability, but (he is) inferior (to me) in experience 

　(彼は能力の点で私より優れているが、経験の点では劣っている)

ex2) He is five years senior to me. = He is five years older than I. (彼は私より5つ年上だ)

   ⇔　I am five years junior to him. = I am five years younger than he. (私は彼より5つ年下だ)

　　　　　

ⅱ) prefer が比較表現に用いられる場合

"prefer"を使って、「～より・・・を好む」と言う場合"prefer ～ to ・・・"が用いられますが、このtoも前置詞です。従って、原則として比較対象には名詞や動名詞が用いられることになります。ただし、比較対象を不定詞を用いて言うこともでき、その場合は"prefer ～ <to不定詞> (rather) than <to不定詞>"を使います。なお、この形では、thanの後のtoは省略されて動詞のみ来ることもあります。これを公式化すれば・・・

● prefer ～ing to ～ing　⇒ ～ingは動名詞

　= prefer to+動詞の原形 (rather) than (to)+動詞の原形 　⇒ to+動詞の原形は不定詞、後のtoは省略可

ex1) She prefer reading to watching TV. 

　= She prefer to read (rather) than (to) watch TV. (彼女はテレビを見るより読書を好む)

ex2) Children prefer watching TV to reading. 

　= Children prefer to watch TV rather than (to) read. (子供というものは、読書よりテレビを見ることを好む)

※ex2) は、Children prefer TV to reading. (子供というものは、読書よりテレビを好む) と言うこともできます。

　　　　　　　　　

では、以上のような点に注意して、以下の日本語を英語に直してみて下さい。極力、日本語で考えず、イメージを自動的に英語にする努力をしましょう。もちろん、発音やイントネーションにも注意して下さい。すぐに言えなかった場合は正解例を見て記憶し、少し時間を置いてから言えるかどうか試してみます。これを何回か繰り返すうちに、日本語に対応した英語が難なく出てくるようになると思いますよ。

1. 彼は私よりリベラル(自由主義的)だ。

　　　　　　　　　

1. He is more liberal than I.

 = He is more liberal than I (am liberal. )

　　　　　　　　

2. 彼の考え方は、私のよりリベラル(自由主義的)だ。

     　　　　　　

2. His way of thinking is more liberal than mine.

 = His way of thinking is more liberal than my way of thinking.

　　　　　　　　

3 彼の意見は、私のよりはるかに実際的だ。

　　　　　

　　　　　

3. His opinion is far more practical than mine. 

= His opinion is far more practical than my opinion. 

　　　　　

4. あなたのパソコンは、この新型に比べてはるかに旧式だ。

　　　　　　　　　　

4. Your PC is far more obsolete than this new one. 

　　　　　

5. 彼女の一家は、私の(一家)よりいくらか裕福だ。

　　　　　

5. Her family is a little more wealthy than mine.

 = Her family is a little more wealthy than my family. 

　　　　　

6. このリボンは、あれより2インチ長い。

　　　　　

6. This ribbon is two inches longer than that one. 

 = This ribbon is longer than that one by two inches. 

　　　　　

7. 私の叔母は、母より三歳年上だ。

(senior / older を使って)

　

7. My aunt is three years senior to my mother. 

 = My aunt is three years older than my mother. 　　　　　

　　　　　

８. 私の母は、叔母より三歳年下だ。

(junior / younger を使って)

　　　　　　　

８. My mother is three years junior to my aunt. 

 = My mother is three years younger than my mother.

 　　　　　
９. 会議に先立って、我々はこの議題についての資料を準備しなければならない。

(prior を使って)

　　　　　

９. Prior to the meeting, we must prepare the materials on this subject. 

　　　　

１０. 彼女は肉より魚を好む。 １０. She prefer fish to meat. 

　

１１. 彼は、何もしないより働くことを好む。

　　　　　

１１. He prefer working to doing nothing. 

 = He prefer to work (rather) than (to) do nothing. 

　　　　　

解答例３．practical = 実用的な、実際的な

解答例４．obsolete = 旧式の、時代遅れの、すたれた

解答例９．prior to the meeting = 「会議に先立って」は、よく使われる慣用表現なので、覚えておきましょう。

　　　　　

2011.2.10.+2.15.+2.18.

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