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Bryan Ferry's auto biography

- Rock's most stylish man talks motor cars with Simon Mills  -

(magazine unknown)

 

 

Translated by Ayako Tachibana

 

ぼくが初めて手に入れたのは Vauxhall Velox で、大学2年の時、30ポンドほどだったよ。前がステキなベンチ・シートになってて、柱状のギア・シフトだったんだけど、そのへんが気に入っていた。ふっくらした感じのクルマで、丸くて、重くて、しっかりした雰囲気の、イギリス人がぐっとくるようなアメリカっぽいやつ。... ニューキャッスル・クロニクルの案内広告欄で見つけたんだ。なかなかいかした「旧車」ってヤツだったんじゃないかな。

それ以上に最高の気分だったのは、スチュードベイカーのチャンピオンを買った時で、もうめちゃくちゃ惚れこんでた。クリーム系のオフ・ホワイトでサイドにクロームのラインが走っていて、サメみたいなキリっとしたスタイル。ぼくのモヘアのスーツにピッタリだなって思ったけど、そういうクルマがイングランド北西部でどういう末路を辿るかは考えてもみなかった。

買った時のことはハッキリと覚えてなくて、覚えてるのはそれがこの世に存在していると知った瞬間から、そしてなんとか賄えると分かった時から、手に入れなくちゃと思い込んだことだ。60ポンドしたよ。もちろん走らせるのは悪夢のようなもので、故障の連続だし、パーツなんか手に入らないし、おかげでせいぜい1年くらいしかもたなかった。ガソリンよりオイルを食う方が多くなって、手放さざるを得なかったんだ。

当時はクルマに関する限り、ぼくには見た目が全てだった。スタイリングにしか興味がなかったから、性能とかそういう理由で買うことはまるでなかったね。今でも、かなりそうだけど。ヨーロッパのものより遊びがあって面白いから、昔は特にアメリカのクルマの方が好きだったかな。

1973年型のキャデラック・デヴィルに夢中になった時のことも忘れられない。ロキシー・ミュージックの "For Your Pleasure"でアルバムのジャケットに使ったやつだ。あれ今、どこにあるんだろう。他に一時期はかなり洗練された雰囲気のクルマに乗ってたこともあるけど、アルファ・ロメオ164ね、あれなんかスパイにピッタリって感じがするだろ。でもコルベット・スティングレーが大好きだから、今でもアメリカン・デザインに強く惹かれる傾向はあるんだろうと思うよ。

スチュード・ベイカーを手放したあと、ぼくはロンドンのオールド・ストリートにあるアーティスト・スタジオに引っ越して、そこでモーリス・マイナーのコンバーティブルを買ったよ。それってアストン・マーティンとかフェラリみたいな流れとは全然違うんだけど、そう思う人もいるんじゃない? ぼくはずっとロック・スター的なケバいクルマって、ちょっと品がないなって思ってたから。モーリスのようなクルマが好きなのは、地に足がついた感じで信頼性があるし、それでいてちょっとコドモっぽい遊びがあるからなんだよね。

つい最近、とても状態のいい古いモーリス・マイナーに乗る機会があったんだけど、見てるだけでもすごく楽しい気分になるね。バス(訳注 : イングランド南西部の街)で仲のいい友達がモーリスのレストア業をやってるんだ。これまで何台か彼のところから手に入れてるよ。その昔、バンドが荷物を運ぶのに必要だったヴァンを買うのに、お金を貸してくれたのも彼さ。あれは幅の広いウィンド・スクリーンの白いコマ―のヴァンだった。ほんとにすごい乗り物だったよ。そう言えば、初めてロキシー・ミュージックを結成した頃にサックス・プレイヤーのアンディ・マッケイと一緒に買ったのが、ぼくらのイメージにぴったりな「バンド用の」クルマだった。ゴールドのメルセデス・6シリーズのやつで、キレイなクルマだった。ところが残念なことに初乗りの最中にビッグ・エンド(訳注 : クランクケース側端部)が壊れて、ロンドンまでM1を牽引して帰らなきゃならなくなったんだ。牽引料さえ払えなくて、言うまでもなく修理費用も当然ね。結局、バターシーのぼくらのフラットの外の道路にそのままになったんじゃなかったかな。いくらで買ったのか覚えてはいないけど、全部パアになったわけ。ホントに残念だったよ、堂々とした立派なクルマだったのに。

チェルシーに移ってからは白いルノーに乗り始めたんだけど、レッドクリフ・スクエアでものすごく目立つだろうなと思うようなクルマだった。中でも一番気に入ってたのがクロームで「傘型」スタイルのギア・スティックでね、ダッシュボードから突き出してるんだよ。ギアをシフトするたびに、誰かとスィングでも踊ってるような気分になったな。それって70年代始めの頃の話で、当時ぼくは主にアントニー・プライスがデザインしてくれた物凄くハデな服をよく着てたから、ルノーはそういう服装と面白いコントラストになってただろうね。内側のスペースが広くて動きやすかったことも当時は大きかった。ぼくが本当に気に入ってる数少ないマニュアル・カーのひとつだよ。

大体はオートマの方が好きで、でもポルシェ911・スポーツマティックね、しばらく乗ってたんだけど、あれはすごいギアボックスが付いてた。マニュアル・シフトのようにチェンジ出来るんだけど、クラッチはないんだ。面倒な操作なしにギア・シフトが楽しめたから、ぼくには最適だったな。色は例のゴージャスなアップル・グリーンだったけど、今ではそういう色、見かけないよね。

ぼくが初めて買った新車は黒いデイムラー・ダブルシックスで、とてもすらっとしててしっかりした感じの、着実な足回りのクルマだったよ。ジャガーは地味なクルマだって見下す人もいるけど、ぼくはカッコいいと思うな。とても控えめで、外科医みたいな人が乗りそうなクルマじゃないか。

誰でもとにかくデラックスなクルマに乗りたいって一時期があるものだと思うけど、ぼくの場合特にそうだったのはベントレーT2で、1982年頃に買ったんだ。見事なベルベット・グリーンに塗られていて、とても深い色なので一見すると黒にさえ見えるくらいでね。それに内張りも美しかったのを覚えてるよ。何年か手元に置いていたけど、ちょっと負担になってきて手放さざるを得なくなった。他にはステキな赤いメルセデス280を持ってたこともある。でもそれは盗まれて湖に沈められちゃったんだ。それとビートルのコンバーティブル、あれは妹にあげたんだったかな。

ぼくにとって究極のクルマと言えば古いイギリスのモーターサイクルに付いたサイドカーだね。重いコートを着て真直ぐに座り、郊外を走り回ってるような、ああいうのをやってみたい。しっかり掌を握ってマジメな表情で、とても決然とした様子でまっすぐ前を見据えて走るんだ。

 

translate :  2005.8.22.

revise / edit 2007. 2.2.+2.14.

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